□ 大気環境学会 関東支部

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大気環境学会 関東支部 総会・講演会 総合討論メモ

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平成20年6月13日に行われた大気環境学会関東支部講演会「今後の大気汚染常時監視局のあるべき姿を確立しよう」の総合討論では、柳沢支部長の司会により有意義な議論が行われました。以下、議論の概略を主催者の責任でまとめました。

1.各講演に対する質問、意見など。

 前半は各講演に対して、以下のように、質疑応答が行われた。

質問:(講演5岩田氏に対して)常時監視の課題として「精度管理」を指摘された。現在困難になっている具体的な事例は何か。

回答: 基本的にうまくいっている。しかし、オゾンの動的校正には検討の余地がある。

質問:(講演5岩田氏に対して)有害物質監視の予算(消耗品)が削減され不足した。観測項目毎の予算について国から指針を示して頂けないか。

回答:「三位一体の改革」により国からの補助金が廃止され、財源が自治体に委譲された。監視に必要な経費に関する国の指針はない。各地方自治体で実態にあった対応をしてほしい。

質問:(講演1吉成氏に対して)お話しによると二酸化窒素やオキシダント測定で湿式測定がかなりの割合(30%以上)で行われている。乾式測定に移行しないのは何故か。

回答:千葉県の場合、SO2を除いて、NOxとOxは100%乾式測定を行っている。SO2の場合、湿式と乾式の価格差が大きい。各県の財政的な理由があると思う。

質問:(講演 3梶井氏に対して)オキシダントポテンシャルとオゾンポテンシャルの違いについて伺いたい。

回答:我々は、オキシダントポテンシャルを大気中でOHラジカルがその寿命中に作り得るオキシダント量(1個のOH分子から生み出しうる積算した過酸化ラジカル量)と定義した。一方、通常いわれるオゾンポテンシャルは、気象条件などにおいてオゾンや光化学オキシダントの発生しやすさの程度を指すのではないか。各種のポテンシャルは、(1)OHラジカルとの反応、Aオゾンとの反応、BNO3(夜間)との反応などの状況で色々と考えられており、内容が異なる。

意見(梶井氏):一つ申し上げたいのは、今の常時監視のNO2の測定は、NO2とNOyの一部を合わせて測るという、中途半端な測り方をしている。今後、NOxが低濃度となると、NO2測定におけるNOyの影響が大きくなるので、(NO2をコンバーターで分解し測定するのでなく)NO2を直接測定する方法を開発する必要がある。

意見(会場):その事実は昔から良く分かっている。問題は、今まで機器開発者が適切なNO2測定機を開発しないで来たことだ。

意見(梶井氏):NO2測定機は出来ている。しかし、レーザーを使用するので高価である。最近は発光ダイオードを適用した低価格の測定機を開発中である。

質問:(講演3梶井氏に対して)NMHCが下がっていると言うが、植物起源のものも下がっているのか。

回答:植物起源のものは増えている可能性がある。都市部では、街路樹などに起因するテルペン、イソプレンが増えている可能性がある。

質問:(講演3梶井氏に対して)テルペンの複雑な大気中分解生成物などについて、どこまでを解析対象と考えるか。

回答:複雑な分解生成物の多くはその蒸気圧が下がり粒子化するので、粒子化する前の成分を対象とする。

質問:(講演3梶井氏に対して)植物由来の大気成分はどの程度観測しているのか。

回答:10種類程度は観測している。

質問:(講演3梶井氏に対して)ヒートアイランドにより植物由来の大気成分放出量が増加する可能性はないか。

回答:考えている。

2.今後の大気常時監視局のあり方について

後半は「今後の大気常時監視局」に対して意見を募り、以下のような意見がだされた。

(主に測定対象に関する意見)

  • 粒子状物質について、成分を測ることが必要。PM2.5を測ることが必要。
  • 粒径の小さな成分の観測と並行して、黄砂のような粒径の大きな成分もしっかり観測することが必要(小さな成分の変動をみるためにも不可欠)。
  • 粒子状物質について、重量だけでなく、数を測定することも必要。
  • 現在の光化学反応についての理解は不十分で、都市光化学オキシダントの制御に成功していない。光化学オゾンなど科学的に未解明な点が多く残る問題では、問題の科学的理解が深まってから測定対象物質を増やすことを考えるべき。

(主に最適配置に関する意見)

  • 越境汚染に対応した常時監視局の配置を考慮することが必要。
  • 越境汚染を想定した(通常分析対象としない)有害物質の監視が必要。大陸では、日本で使用出来ない物質が使われていてそれが移流してくることも考えられる。
  • 今後、NO2の直接測定・高精度化が必要。将来予想されるNOx濃度が低下した大気中では、現在のNO2測定方法で除外できないNOyによる干渉が無視できなくなり、NO2の直接観測が必要になる。また、そのような大気環境中では、オゾン生成がNOx支配となり、NO2濃度を高精度に知る必要がある。

(全般に関する意見)

  • 常時監視局や常時測定対象物質を変更する、増減するには、科学的根拠を明確にすることが必要である。
  • 「基幹測定局」が必要である。「基幹測定局」の役割は、精度管理、人材育成、新規装置の設置場所の提供などである。
  • 財政的な点を考慮すると、常時監視局は目的・能力に応じたランク分けをはっきりさせ、測定対象、配置の柔軟化を検討する必要がある。
  • 常時監視にも、民間企業ポテンシャルの活用を考えなくてはならないかも知れない。
  • 常時監視の補完を目的とした、モデル・人工衛星データの利用。
  • 気象庁も測候所を減らしている時代の流れの中で、常時監視測定局の存在の「意味」を創らなければならない。

以上


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