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倫理委員会ニュース(1)

最近の社会面から

古谷圭一(倫理委員会委員長) 第41巻、第5号、N39, 2006.

 昨年末の姉歯建築構造設計計算偽造事件から現在まで、東京大学での論文データ再現性不祥事件、早稲田大学での研究費不正使用など科学技術者の倫理に反する報道が続いている。さらに時間を遡れば、昨春以降、公衆衛生誌論文著者問題、東京都ディーゼル排ガス処理間納入問題、不二サッシ排水データ偽造、クボタ岩手ダイオキシンデータ改ざん以来、JFE千葉排水データ改ざん、石原産業フェロシルトデータ偽造、島津欠陥NOX計納入の発覚など環境データに関する事件が続いて、あまり多いのでそれも忘れてしまいそうである。

 その他には、韓国のES細胞論文ねつ造事件など、その時なりにそれぞれの関心はあるが、その裏には、経費削減、効率重視、予算獲得などの要求がますます過酷となる社会的状況も透けて見える。年会でテーマとなっているアスベスト規制についても実際の測定の現場でこれからどうなるのだろうか。
 これらはすべてわれわれ学会員の日常の研究活動とその社会的接点において生じてもおかしくない問題である。実際、その場に立った当事者たちは、そのときにはそれを外に出すためにはそれほど重大な問題だと認識せずに行い、その後でその影響の大きさに驚いているのではないだろうか。「制限速度を2, 3 km/h超過しているくらいじゃないか」と考えていた障害者設備をごまかしていた東横イン社長の言葉がそれを表している。

 本学会は、昨年10月、学会倫理綱領を公にした。その内容は、単なる時勢に合わせてのお題目ではなく、学会員および学会全体の自戒として具体化したいものである。

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